ギリギリセーフ(2008.04)
春の鯉釣りシーズンになり、天満橋へと舞い戻ってきましたが、去年より駐禁の取り締まりが一段と厳しくな
っており、以前まではペアー一組の監視員が今年は二組で巡回しているため 日に3、4回は訪れる。
 
つい先日も餌換え中に ふと車の方へと目を向けるとすでに監視員が取り締まり作業をしており、慌てて駆け
寄り難を逃れたが油断もスキもありゃしない。
 
川の護岸から車までの距離は約20メートルで、途中階段となっていて、周りは木で生い茂っているが確認
出来る位置に車を泊めたのが幸いした。
 
その数日後、前回と同じポイントで同じ位置に車を泊める。
 
前回のハプニングがまだ記憶に新しいのでパーキングに入れようと思ったが、餌換え中等でも常に車に目を
向けることにしそのままに。
 
竿のセット完了後、車の側で椅子に座りながらアタリを待ったが、静かなまま昼を向かえた。
 
竿の側をビニール袋を持った中年の女性が横切る。都会の川ならでわのよく目にする昼食タイムの光景だ。
 
数十分後、絵画のように動かぬ竿から目線をはずし、自車の前方数十メートル先を何気なく見ると、駐禁車
のレッカー移動の作業がまさに始まろうとしていた。
 
鯉のアタリはセンサー音に頼ることにし、目線は作業に釘付けとなる。
 
車底に潜りこんでいるジャッキが動かされ、車高が徐々に高くなっていく。
 
次に車輪を受ける台車を潜り込ませようとした時、私の目の前にある階段の下より先ほどの中年女性がゆ
っくりと昇ってきた。
 
満腹感に酔いしれながら安堵した表情で歩道へと片足を一歩踏み入れ、レッカー移動の作業に目を向けた
途端、安堵していた顔が青ざめた顔へと急変した。 この女性の車だったのである。
 
「ずいまぜ〜ん」と濁った大声を連呼し、今にも転びそうなダッシュで駆け寄る。
 
まるでカバンを奪われ、そのドロボーを追いかけている様な感じだ。
 
なんとかギリギリセーフで間に合ったが、作業員および警官の【残念】という表情が印象的であった。
 
女性の車だと判っていればもっと早くに知らせていたのだが、駐車付近の階段を降りたようなので気が付か
なかったのである。
 
ともあれ警官にペコペコ頭を下げた後、車を飛ぶように発車させた車中では「あ〜危なかった〜」と胸を撫で
下ろしたことであろう。
 
駐禁の取り締まりに、よりいっそう身の引き締まる思いをした一日であった。