酔った勢い事件(2009.06/27)
26日、夜勤を終えいつもの○○○に向かったが、着いた時には日付が変わっていた。
 
いつもの時間だとタクシーがズラーっと並んでおり、車を停めるのに苦労するのだが、この時間はさすがに稼ぎ
時なので一台も居らず停めやすい。
 
タックルを担ぎ込んでポイントに着くと、鰻名人がすでに竿をたたんでおり、サマーベッドで気持ち良さそうに寝
ている。
 
音をなるべく出さないようにセットするが、神経を張り巡らせているのかすぐに起きられた。
 
「毎度!すんまへんな起こして」     名人「毎度!いやいやまだ寝付いてなかってん」
 
「どうでした鰻は」   名人「おおっ釣れとるで」   私「さすが名人でんな」  名人「何言ってまんねん」
 
という会話が続く中、橋の上を酔っ払った若人二人が賑やかに通り過ぎていく。
 
ブツを針に刺しながら耳を若人の会話に向けていると物騒な言葉が発せられた。その部分は後に明かす事とし
 
私は、まさかそんなことようせんやろ(・出来ないだろう)・・・。と思いながらセットを進め名人との会話に戻る。
 
名人「ところでいつもワシの寝てる間に釣りしているが鯉は釣れてんの?」
 
「ええ21日に良型が来ましたわ」        名人「そうかいな、そりゃ良かったやん」
 
名人は朝早くに起き、自転車で出かけるので95cmと98cmの計測は知らないのである。
 
事件勃発が近づく中、3本目の道糸に錘をセットしている時、対岸にて良型の鯉が跳ねる。
 
「デカイのん跳ねたな〜、でも遠目やな〜」と名人に目を向けるとすでに眠りについていた。
 
次に最後の針へ餌を差し込んだ時だ!先ほどの良型とは比べ物にならない「ザッバ〜ン」という音が辺に響く。
 
私が目を向けた時には水しぶきだけが薄暗い街灯の光に照らされていた。
 
名人「なんや今の音!」とびっくりしながら飛び起きる。
 
すると対岸近くの橋の上から先程の若人一人が川面に向きながら「アホ!何しとんねん大丈夫か〜!」
 
「ありゃ〜!飛び込んだんと違うか?」      名人「そのようやな、何てことしよんねん!」
 
先程の物騒な言葉とは「ここから飛び込んだらどうなるかな〜?」だったのです。
 
私達は固唾を飲みながらジ〜〜〜と薄暗い対岸を見つめた。
 
対岸には橋から降りれるように白塗りの螺旋階段が設置されており、薄暗い光が照らしているので、護岸に上
がれば人影が写るはずだ。  
 
しばらく見つめていると・・・・・・・  うっすらと人影が写った!  「上がってきょったわ!良かった〜」  
 
名人「人騒がせなやっちゃのう〜」と話していると、橋上の若人がこちらに向いて走って来て私達の真上より
 
若人「すいませ〜ん先程友達が落ちたのを見ましたか〜」 
 
「お〜っ見たけど護岸に上がったんじゃないの?」
 
若人「橋の上からは暗くて見えないんですよ〜すいませんでした」と今度は近くの交番に向かって走り出した。
 
私達は再度対岸に目が釘付けとなる・・・・・・・・
 
すると事態を知ったのか近くの工事現場から警備員が駆け付け赤い点滅棒で捜索しだした。
 
名人と顔を見合わせながら、「ええ〜〜っ!まだ上がってないの〜?じゃーさっきの影は・・・」と言ったとたん
琵琶湖野洲川の黒い影事件が思い出され背中がゾク〜っとなり鳥肌が立った。
 
次々と、けたたましくサイレンを鳴り響かせたパトカーが到着し橋上に3台並んだ。   
 
その1、2分後、チャリンコ警官が私達の元へやってくる。
 
私が一連の出来事を述べた後、「当人はまだ見つかってないの?」っと問うと、
警官「そうなんですが護岸に濡れた足跡があり、駅方向へと向かっていますので捜索中です。」
 
「え〜〜っずぶ濡れのままで〜?じゃさっきの影が見えた直後駅方向へと向かったんですね〜」
 
警官「かなり酔ってるとの事ですから・・・・・」
 
この日は中潮だが、今の時期、潮の干満の差は夜間が小さく、流れが緩やかだったのが幸いした。
 
昼の、中・大潮の下げ潮だと流れが極端に速いのでまずダメであっただろう。
 
数年前、花見で酔った2人が対岸に向けて泳ぎだし、両人とも力尽きてしまった出来事がある。
 
自然を甘く見ると計り知れないお仕置きが待っているのだ。
 
ともあれ尊い命が無事だっただけても良かった良かった。
 
その後の事は聞いていないが、数十分後にはパトカー及び警官も居なくなり、元の静かな川に戻ったので駅
周辺で発見されたことでしょう。
 
しかし酔った勢いとはいえよく飛び込んだものである、けっこうな高さがあるのに・・・・・。
 
私ならいくら酔ってても橋上から水面を見たとたん・・・・・ 酔いが醒めて足がひるみますわ(笑)
 
今回は釣果が出なかったが、身の引き締まる思いをした釣行であった。